2012年05月20日
新書まつり
先週から今週にかけての読了
竹信三恵子著
『ルポ 賃金差別』
ちくま新書955 2012年
賃金の話を「格差」ではなく、
「差別」として捉えて分析。
単なる「給料の差」ではなくて
「給料が安くて当然」「さまざまな権利がなくて当然」などなど
「差別してもいい人たち」というカテゴリーを作ることで
賃金差が発生しているという話。
賃金は労働の対価として払われている
→ならば同じ労働には同じ対価を
というところからスタートしているのだが、
日本の場合
「賃金は人に払っている」
という意識が非常に強いので
恐らく、単なる賃金差以上に
給与の格差が「正式なメンバー」か「そうでないか」という
身分の差と絡みやすいんだろう。
なんて思ったり。
大江正章著
『地域の力―食・農・まちづくり』
岩波新書新赤版1115 2008年
さまざまな実践を紹介。
採算が合ってビジネスとして成り立つかどうかというところまで考慮しつつ
各地の地域独自の取り組みを紹介している。
やはり、「巨大な富」は生み出さないけど
そこでうまく経済を回して行ける、持続可能な経済とでもいうような
小さな経済スタイルを根付かせたいものだ。
郷原信郎著
『思考停止社会』
講談社現代新書1978 2009年
コンプライアンスの問題などを扱っているもので
「決まりを守ること」だけを重視することが
いかに問題かを紹介。
「「法律で決まってるから守るべき」という学生が
最近多すぎるんです」と言っていた
ゼミの後輩のことを思い出す。
冷泉彰彦著
『「上から目線」の時代』
講談社現代新書2141 2012年
日本語のそもそもの特徴から
さまざまな場面での、会話や行動のテンプレートが
崩壊していることや
価値観がぶつかり合う場面が多くなってきたこと、
社会の問題状況も複雑化していることなどが
「目線」を強く意識させているという内容。
井田徹治著
『環境負債』
ちくまプリマ―新書178 2012年
中高生向けに書かれているものなので
やさしくさまざまな問題や取り組みが紹介されている。
コモンズの悲劇。
まさに、現在の日本の状況は、そうなのだろう。
日本が、頑張って何とかしようとしているのに
アメリカが、中国が、インドが、同じように取り組まないのは「ずるい」「意味ない」。
だから、日本もぶんどれるだけぶんどる。
やはり、自給できる範囲でやってゆく、
今までのように、大量に安いものが手に入ったのが異常なわけで、
それなりの対価を払って、利用できる分だけ利用する、
そんな「覚悟」が重要。